#2 一度目の内見
#2 一度目の内見

#2 一度目の内見

222

2014年9月
「拝見することは可能ですか?」
「鍵を預かっているから、いつでもどうぞ」不動産屋さんの快い返事に まず平屋の内見をお願いした。
その頃、私は足の骨折中で、どうやら平屋は 少し険しい坂の先にあるらしく、ヤンに内見の大役を託すことに。

戻ってきたヤンは、
「んー結構やれてた」
「でも、面白い作りの場所もあったし、庭は広かったよ」
と複雑な面持ちで写真をたくさん見せてくれた。

ずっと使われていなかった平屋。
家は主をなくすと、水をあげない植物の様に元気をなくしていくものだ。
以前、画家さんも借りていたことのあるという平屋は、一度増築をされたり、天井を高くされたりと面白い作りにはなっているけれど、水回りのひどさは、もう綺麗にして使えるレベルでないことが写真を見ただけでもわかった。

安いからと買っても、結局 手入れするのにかなりの金額がかかりそうなことはさすがの脳天気な私達にもわかるし、ましてや その資金もない。

勢いだけで決められることではないこともよくわかっていて
さらに、なぜ、土地が250坪もあるのに抑えた価格設定なのかは、真鶴半島によくある、駐車場のない また車も入っていけない、新築不可の不動産的な悪条件を抱えていたからだった。

 


#0 記録に際して