会計事務所までの道すがら、ボンヤリと浮かんだことは、「親から出してもらった」という眩しいフレーズ。 知り合いの中には、お店を出したり、必要な道具や機械を揃えたりするのに、親御さんから資金を借りて、 もしくは完全にサポートしてもらう形で 事業を始める方々もいて、「いいな〜」とボンヤリうらやんでいた。私の両親は他界しているし、ヤンも親の手は借りたくない方なので、何かあっても自分たちだけで解決できる方法で頑張ってみよう。と 強がっていた。 それでも あぁ 親バンクだったら 苦手な数字の資料も作らなくていいのだろうな・・と、 お互い苦笑いと小さなため息をつきながら車を進めた。 弱っていたのだなぁ。 会計事務所は、いつもながらに清潔で気持ちのよい挨拶、所長さんも「ご苦労さんです」と笑顔で迎えてくれて、疲れ気味の私達を “さ、頑張ろう!” と明るい気持ちにさせてくれる。 資料を見て頂くと、「利益率は確保できていますね」と女性会計士さん。 「なるほど・・売値は上げられませんか?」と、少し困ったようだった。 「できれば直接お客様に販売していきたいので、そのための場所なんです..」 やはり、私達の様なやり方は 融資を受けられるような枠の中にないのかな・・と視線を落とすと、 「中山さんたちがやろうとしていることは、独自の考え方ですものね。 それで いいと思います。 でも成り立たせるための裏付けをしっかり公庫の方に伝えたいんです」 女性会計士さんは 真っ直ぐこちらを見て、包容力と熱意のある口調で話してくれた。 さらに 森の場所のことをお伝えしているわずかな方々、 もし お店としてオープンできたならば きっと こんな風に関わってもらえるだろう とみんなの顔を思い浮かべながら 一人ずつ書き連ねていった。 事業計画の資料としてはこれで完成。 あとは、会計事務所の方で 提出するための書類作りを進めて下さる。 |